2014-09-08
今回は賃貸借契約についてです。もうすでに内装、解約時、退去時の原状回復等のトラブルで嫌な経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
契約後のトラブルの原因で最も多いのは契約時のお互いの認識不足によるものです。
契約をしたことを後悔したり、大家さんとの間で嫌な思いをしないためにも最低でも以下のポイントはしっかりと押えて契約に望みましょう。
契約形態
まずは契約形態です。最近は「定期建物賃貸借契約」(定借なんて言われています。)も増えていますので「普通建物賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」の違いをきちんと理解しておきましょう。
建物賃貸借契約
一般的な建物賃貸借契約となります。契約期間は2年または3年とされていることがほとんどで契約期間の満了前にお互いに更新の合意をして更新されていく契約です。
契約書によっては契約の満了前に双方に異議がないときは自動的に前回と同様の内容で更新することにとなっている場合もあります。
そして更新時には更新料として家賃の1ヶ月から2ヶ月分を支払うケースが多いようです。
また建物賃貸借契約では貸主(大家さん)から更新拒絶や解約の申し入れをするには「正当な事由」が必要とされています。この「正当な事由」についての判断は厳しく、ただ単に自分が使いたいからといって認められるような簡単なものではありません。
その結果、実際は貸主(大家さん)からの更新拒絶や解約の申入れは難しく、更新を前提とした契約形態となっているのも特徴のひとつです。
定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借契約は建物賃貸借契約と違って更新がありません。原則、契約期間の満了をもって契約はそこで一旦終了します。
従って貸主(大家さん)は確実に建物の明け渡しを受ける事が出来ます。契約を継続する場合は契約の満了時に再契約を行うことになります。
契約期間は自由に決められます。更新がないので更新料は発生しませんが、再契約料という形で家賃の1ヶ月から2ヶ月分を支払うケースが多いようです。
但しこの定期建物賃貸借契約を有効に結ぶには契約書とは別に一定期間の経過により契約が終了することを書面で説明することが必要になります。
また定期建物賃貸借契約では一定期間で契約が終了するため途中解約の問題や再契約が可能かどうかなどは十分確認しておきましょう。
明渡し条件
よくあるケースに造作付きの居抜きで借り受けた人が退去する際に借り受けたそのままの状態で貸主に明渡せばいいと思っていたら、契約書には「造作物は全て撤去(スケルトン)で引渡さなければならない」と書いてあり、明渡し時のスケルトン渡しと原状渡しとの認識違いでトラブルになることがあります。
明渡し条件についても契約書に記載があるケースがほとんどですのできちんと確認しましょう。特に記載のない場合は契約前に確認した方が良いです。
また、明渡し条件と同様に認識違いによるトラブルが多いのが原状回復です。原状回復も契約書に記載しているケースがほとんどです。
しかし曖昧で解かりづらい表現をしていることも多いので曖昧で解かりづらい場合は原状回復とはどこまでのことを言っているのか明確にしておきましょう。
原状回復でのトラブルを避ける為には契約時に確認し原状回復の範囲を明確にしておくことが大切になります。
解約予告
店舗の賃貸借契約は住居の場合と違い解約の申入れは長くなるケースが多く、業績が思わしくないので解約したいと思ってもすぐに解約できる訳ではありません。
だいたい3ヶ月から6ヶ月の解約予告期間を設けている契約がほとんどです。きちんと解約予告を契約書で確認することはもちろんですが、経営が苦しいのにギリギリまで営業を続けると解約予告分の賃料が払えなくなってしまうこともあります。
あまり大きな損失を抱えてしまうと再起が難しくなりますのでお店をたたむ場合も解約予告を十分考慮して計画的に行うことが大切です。
内装設備
「内装工事を行う場合の内装工事業者は貸主(大家さん)が指定する」や「内装工事を行う場合は事前に書面を提出しなければならない」等の決まりごとが契約書に書かれている場合が多いです。
その場合は貸主の許可なく勝手に内装工事を行うと。契約違反になります。
また内装工事中に変更が出たりすることも良くあります。変更が生じた場合には変更箇所を貸主(大家さん)に確認しながら進めることが重要になります。
内装工事は工事による他の店舗への影響も大きく他店舗からの苦情がでる場合もありますので慎重に行いましょう。
そして内装工事を行ったことによる消防法等の関係法令で構造違反とならないことにも注意しましょう。
最後に
確かに文字ばかりで何ページにもなる契約書を見ると一瞬で「読むのが面倒」とひるんでしまいますが、契約時の認識違いによるトラブルは非常に多いです。
不動産屋さん任せや「他で店舗を借りてたこともあるので大丈夫、そんなの解かってるよ。」、「建物賃貸借契約なんて結局はだいたいどこも同じでしょ」などの考えは危険です。
建物が変われば同じ賃貸借契約でも当然賃貸条件はそれぞれ異なります。少なくとも上記はきちんと確認するようにしましょう。
そして契約の中で交渉できそうなところはきちんと交渉をしていくことも重要だと思います。